5.建築部材の生産(量産)システムの開発研究
石井信義** 北嶋俊郎**
をシミュレいションで設計した。さらに、シミュ
レーションにもとずいて生産量と製造コスト
(人件費)を検討した。
2.2壁装材(加飾加工材)の反応調査
壁装材の製品サンプル(写真【1)による専門家(建 築家、インテリアデザイナー等)の意見を集約し
た。質問は(1)イメージ、(2)利用方法、(3)小売価
格の3項目に絞り実施した。なお、小売価格
(上代)については、H組合と協議して生産量や人件費、あるいは市販品の壁装材の価格等を参考
に小売希望価格を25、000円/3.3一丁f (1坪)に設定
した。 1.はじめに
多量に産出されている県産杉村(豊後杉)の高
度利用のための技術開発として、平成2年度技術
開発研究費補助事業で、木材の春材部と秋材部
の硬さの差によって生ずる凹凸を血つの模様(表
面加飾)として生かす技術開発を確立した。
平成3年度はこの技術開発をもとに、実用化の
ためのモデル製品(壁装材、小幅材等)の開発と
生産工程の検討を行い資料を整備した。これら
の技術開発の結果を企業に移転して壁装材を製
造するためには、新規製造棟械(マイクロ波照射
装置、加圧加飾機等)の導入と、これにともなう 生産ラインの再構成や、資金の調達及び技術者
の教育が必要である。さらに、製造した壁装材
が作り手側の思惑通り、流通システムに乗って
市場でどの程度販売されるかという需要量と、
これを供給する生産体制とのバランスの問題も
ある。技術移転を実行するには、これらを含め
た総合的な計画の綿密な検討が必要である。
平成4年度は、上記のことを念頭に置いてさま
ざまな生産ラインにおける生産量と、製造コス
トをシミュレーションによって検討し、技術移
転を進めるための資料の充実を図ると共に壁装
材の製品モデルによる専門家(建築家、インテリ
アデザイナー等)の意見調査を行った。
写真−1 製品サンプル
3.結果及び考察
3.1生産(量産)システムの開発
(1)生産ラインのシミュレーション設計
製品の生産性を向上させるには、「ムI j J 「ム
ダ」「ムラ」を除き加工部品が効率よくスムーズに
流れることが大切であり、そのためには、製造品
目を十分に検討して製造機械を配列すべきであ 2.方 法
2.1生産(量産)システムの開発
る。製遷機械の配置には、工程配列方法と流れ
配列方法があるが、ここでは、流れ配列方法を
採用した。
材料(素材)から製品(壁装材)までを一つの生
産ラインと考え、マイクロ波照射装置と自動加
飾機をメインとして、関連製造機械を加工部材
の流れに従って配置した。No.−Hは、I l 組合の壁 装材製造ラインである。No−システムー2∼6
は、自動化(合理化、効率化)を進めた生産ライ
ンである。さらに、製造加工に従事する作業者
(○ 印)をそれぞれの工程に配置した。
この設計によって、材料(素材)から製品(壁装 材)までの生産ラインが明確になった。
(2)生産量と製造コスト(人件費)
図】2のシミュレーション設計にもとずいて、 生産量と製造コスト(人件費)を貸出した。製造 コストには、材料費、消耗費、機械の償却費、 及び人件費が含まれるが、ここでは製造コスト
に占めるウエイトの大きい人件費について検討
した。なお、生産量の算定は、生産ラインの中
で最も加工処理時間を要する工程を基準にした。
また、製造コスト(人件費)は、H協同組合(No 仙H)における壁装材の生産量j 1981¶ 2(60坪)/釧 を基準として、以下のように産出し、このH協同組
合における製造コスト(人件費)を一つの目安と した。H組合の場合、1981TF(60坪)/日の生産量を 上げるには、7名の作業員を要する。これを1人 の生産量に計算すると、198nf /日÷7人=28.29
nf /人となる。賃金を5,000円/日として1m2当た
りの人件費は、5,000円÷28.29nf =176.74円/
㌦である。
さて、板材(2.00×0.135=0.27nf )… ▲枚のマイ クロ波照射処理時間は30秒、加飾加工処理時間
は60砂である。60秒で1枚の処理能力として1時
間で60枚。1日では60枚× 8時間=480枚となる。
製造面積では0.2711f X480枚=13011f (約40坪)/
日となる。
システムー1では、13011f の生産量を上げるには 11名が必要である。これを1人の生産量に直すと
130I l 12/目÷ 11人=11,82I l f /人。賃金を5,000
円/日として計算すると5,000÷11.8211f =423.37 円/一丁f となる。
このような計算方式でシステム2∼6まで算
出すると下記の数値を確認できる。
・システムー2
130nf /日÷10人/日=13.0011f /人 5,000円/日÷ 13王げ/人=3錮.61円/㌦
・システムー3 (以下単位省略)
130÷ 8=16.25
5,000÷16.25=307.69
・システム【4
130÷ 6=21.67
5,000÷21.67=230,73
・システム▼5
130÷4=32.50
5,000÷32.50=153.84
・システムー6 130÷2=65 5,000÷65=76.92
H組合と同等の人件費で生産コストを下げるに は、システムー5,6の生産工程を確立することが
必要である。
これらの結果は、技術移転の為の基礎資料で
ある。具体的に技術移転を実行するときは、生
産システムと企業内の機械配置との関連性等考
慮して討議を重ね少しずつ問題点を解決しなが
ら進める必要がある。
3.2 壁装材(加飾加工材)の反応調査
表−1に調査結果を表した。表現は、可能な
限り回答者の言葉で表した。
壁装材のイメージは「おもしろい」がほとん
どで、その他に「暖かみがある」、「凹凸の表情が
おもしろい」等の意見を聞くことができた。使用
方法については「壁面の腰(H600)に使う」、「ポ
イント的に使う」、「天井に使う」との意見や「商
業空間での使用は、それなりの雰囲気がでるので
使ってみたい」等の意見が聞かれた。/ト売価格につ
いては「ちょっと高い」という意見が多かった。
その他に、「アイテムの拡大が欲しい」、「帽の広
いものを作って欲しい」等の意見もあった。
総合的に分析すると、壁装材としての需要見
込みがあると考えられるので、製品の′ ト売価格
の決定とアイテムの拡大を検討して、商品化を
進めることが重要である。
(当所) (企業)
既存概械の改尊
新規機械の導入
製造機械の改善
No 生産ライン 作業 巻数
H 7
◇
自 動 化◇
システム
10
−2 締 切削 研壌
切削 錮雲碧讐 芸芸
マイクロ波照射 加励加工◇
自 動 化◇
システム
8 −3 輔 切削
9彗碧讐 切朋 芸芸 糾 研窃
マイクロ波照射 加錘加工
◇
自 動 化◇
システム
6
−4
呂豊冥
加
◇
自 動 化◇
システム
4
−5
邑錮偲牒
加◇
自 動 化◇
システム
2
−6
賀豊霧
加
※ 0 は、作業者の配置
図−2 生産ラインのシミュレーション設計
表【1 壁装材の反応調査結果
イメージ 使用方法 小売価格 備 考
・おもしろい ・商業空間に利用 ・25,000円/坪ま ・生産量の確保が
S 氏
出来る あまあではないか 問題 ・パネル化として ・採算のとれる場 ・納期を解決して
(インテリア
使う 合ととれない場
デザイナー)
合がある ・もっとたくさんシ リーズ化して欲しい
・使い方次第でお ・壁面、腰(H600) ・25,000円/坪は ・色を使ってアイ
もしろい に使う ちょっと高いけ テムを増やす ・素朴な感じであ ・テーブルに使用 ど、店舗関係な
る する(材を厚く
C氏
・地味である する)・見る角度によっ
(インテリア
デザイナー) ・カジュアルショップ
で使う ・床材にも使うこ
とができる
・おもしろい ・天井、壁等に便 ・25,000/坪は高
B 氏
・表面の凹部の光 用する い。22,000円/ 沢がおもしろい ・アクセントとし 坪∼23,000円/
(建設業) て使用する 坪程度ならいい
・使い方を考える ・商業建築にも便 ・25,000円/坪 ・色調を考える とおもしろい える いいんじゃない ・暖かそうである ・床材にも使える
T氏
・焼杉よりいい ・テーブル天板に
(建築家) 使う
・パネル化する
・床材を考える
・おもしろい ・天井に使える ・25,000円/坪は、 ・幅の広いものを
・ポイント的に使う 公共建築物に便
0氏
うには少し高い・22,000円∼23,00 (市、住宅課)
円程度
・おもしろい ・天井にも使える ・ポイント的に使う